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私は途方に暮れながら都城駅の待合室に立ちすくんでいた。 鈍行で鹿児島県の山川から北海道の稚内まで日本を縦断する旅のため、日豊本線の特急と快速を乗り継いで鹿児島県にほど近い宮崎県南部の町都城にやってきたのだが、台風の影響で線路が分断されて、8月中旬からずっと列車は一駅先の西都城までだと改札口で駅員に言い渡されたのだ。 鹿児島県まではあと少しなのだが、迂回して熊本県に出て鹿児島県を目指しても、今からでは今日中に山川にたどり着くのは困難であった。代行バスはないかと駅員に聞いたが走っていないと言う。 私はプランの変更を決意し、売店で時刻表を買って検討を重ねた結果、今来たルートを戻る事にした。 都城から南宮崎にやってきた。ここからは日南線という線が分岐している。跨線橋を渡り、宮崎発志布志行きのディーゼルカーに乗り込むと車内は席がほとんど塞がっていた。夏休み最後の今日、宮崎で買い物などをしてきた中高生ばかりの車内に、ドア付近のロングシートに空いている部分を見つけ座る。のんびり日南海岸を眺めて行きたかったが、向かいに座る女の子の肩越しの窓に映る海を見る。 宮崎県郊外の青島で少し降りるだろうと思ったがあまり降りない。ここはプロ野球のジャイアンツが春季キャンプを張る地である。 この辺りから窓外には亜熱帯植物が多くそびえ始め、濃く鮮やかな日南の海を演出していく。 内海、日南の小京都と言われる飫肥(おび)でも下車客は少なく、日南市の中心駅かと思われた日南でもさほど降りない。まさか、終点の志布志まで行く人ばかりなのかと考えたが、学生達がそんな長い距離を買い物で出かけるとも思えない。宮崎から志布志までは100.4kmある。 日南市のはずれかと思われた南郷でようやく大量の下車があり、車内はあっという間にガラ空きになった。宮崎から50kmを超えている。 ようやく空いた車内を歩き海側となる進行方向左のボックス席に落ち着くが、無情にも線路は海から離れていき、緩やかな丘陵地帯へと入っていく。列車は宮崎県南端に近い町である串間に着いた。 日南はカープ、串間はドラゴンズが春季キャンプを行なう地であり、市制を敷いているくらいに人口はいる町なので、志布志に泊まれなかったら串間にしようと思う。町の規模はどんなものかと眺めてみるが、大きな町でもないが、ビジネスホテルくらいはある町なようだ。 列車はますます鄙びた風景の中に入っていく。福島高松という二つの町名を合併させたみたいな駅名の駅で、ゆったりと停車する。反対方向からの列車待ちだ。停車時間が長いからか、ディーゼルカーはエンジンを切った。畑の仲の小駅に停まるローカル列車。物音ひとつしない静寂の中に停っている。 列車は再びゆったりと走り始め、畑の中を抜けて右手に海を映し出し始めた。まもなく終点の志布志だ。 志布志は「しぶし」と読む。漢字でも仮名でも、上から読んでも下から読んでも同じという地名だ。かつて志布志には日南線だけでなく都城に至る志布志線、大隅半島を回り込むように海岸線に沿って走る大隅線が乗り入れていた。その面影を残すのは広々とした空地。一面しかない日南線ホームを囲むように芝生の空地が広がる。狭く簡素なホームに、部活帰りの女子高生、数名のお年寄りが改札口目指して歩いていく。 駅前に小さな旅館があり、宿泊可能だったので泊まる事にした。荷物を部屋に置き、風呂に入り夕食。食事は一階にある旅館の運営する食堂兼飲み屋みたいな所で食べる。旅館は老夫婦が二人で営んでいるようで、大人しく笑顔を絶やさないおじいさんと気のいいおばあさんに癒される。長旅の始まりの宿に相応しいのではないか。 食事後、海を見に散歩に出た。もう七時半を回っているが、南国鹿児島の空はまだうっすらと青い。
by seasonz-t
| 2010-10-30 16:09
| 九州・沖縄
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