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宇野線というローカル線の存在は地元の人か鉄道ファンでないと知る人は少ないだろうが、瀬戸大橋線と聞けばそれなりに知名度は上がるだろう。その瀬戸大橋線の岡山~児島は宇野線の一部で、岡山~児島~宇野が宇野線の全区間である。 瀬戸大橋が完成する前は、宇野から船で高松というルートが本州の岡山県側から四国へのメインルートであった。東京駅から「瀬戸」という寝台特急が宇野まで走り、宇野駅のすぐ横に設けられた宇野港から「宇高連絡船」に乗り高松へと至る。宇高は「うこう」と読む。瀬戸大橋線の開業とともに連絡船は廃止されたが、民間船は残っており私も数回利用した。いわば連絡船の面影を求める船旅である。 高松港は駅の裏であるから賑わいは今ひとつだが、それでも高松は香川県を代表する町、寂れた雰囲気はない。高松港からはいくつかのルートの航路が出ているから乗り場もそれなりに活気がある。 瀬戸内海の船旅は日本の船旅に於いて最上級に位置するであろう面白さがあり、それは大小さまざまな島が次々と現れるから景色が飽きないという事にあるのだが、特に夕方が良い。海に沈む夕日、その夕日に照らされて海がオレンジと紺色のツートーンに染まり、小さな島の小さな山の斜面も木々がオレンジに染まっている。そして、そんな小さな島の片隅に小さな漁村が見えたりする。 それらの漁村は近づけばそれなりの集落なのであろうが、船の甲板から見るとまるでミニチュアの模型のように見える。 やがて瀬戸大橋が近づいてくるが、これだけ大きい橋は、そのスケールゆえに海と寄り添うに相応しい存在に見え、大きさが鬱陶しく思えないから不思議だ。よくこれほどの巨大な橋を作ったものだと思う。自動車が走る道路と鉄道が走る線路の二段構造だから高さもある。線路を走る瀬戸大橋線の電車が見えたりもする。 一時間ほどの船旅という時間もちょうどいい。内海だから波も穏やかで快適な船旅を満喫出来て、気分も良く宇野駅へと向かう。港のすぐ前に駅がある。 宇野駅はかつての四国への連絡駅の面影を残していた。天井の高い待合室。ホームに入るとホームがとにかく長い。かつては、東京駅や大阪駅から特急がやってきた駅である。特急が停まっていた面影をそのままホームは伝える。 やがて日は沈み、駅も少しずつ夜の碧に染まり出す。ホームに灯る明かりが心なしか暗めに見える。 やってきた岡山方面の電車は児島行き。一両である。十五両くらいは停まれるのではないかと思えるほど長いホームに、たった一両の電車が停まる。電車は元々旅客用ではなく、荷物を運ぶ荷物電車を旅客用に改造したものだそうで、車内がどことなく暗い。窓が小さいのだ。 低いモーター音を唸らせながら「宇野線」の電車は一両で走る。行き先は岡山ではない。岡山に行くには、この電車の終点である児島まで行き、児島で「瀬戸大橋線」に乗り換えなくてはいけない。 やがて窓の外は真っ暗になった。元本州四国連絡ルートは、そんな過去など置いてきたかのように、ひたすら現実の中を走ってゆく。
by seasonz-t
| 2011-10-10 23:40
| 山陰・山陽
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