カテゴリ
以前の記事
2013年 01月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 10月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
私の旅は一人旅が多いが、今回は同行者がいる。同行者のNちゃんは近年、鈍行の旅に魅せられた一人だ。 あいにくの曇り空の下、吾妻線の電車は三両でのんびりと走る。吾妻川に沿った線路は、やがて川が渓谷になるのと合わせるかのように、崖にへばりつきながら、川を見下ろす高さを往く。 渋川から約50分ほどの岩島を出たあたりで、左窓に流れる吾妻川の上に大きな高架みたいな建築途中の建造物が現れる。八っ場(やんば)ダムの建設中の姿だ。 ダム建設は中止の方向になったが、もし建設されると川幅が広がりこのあたりはダム湖になり水没する。 岩島と川原湯温泉の間には「樽沢トンネル」という日本一短いトンネルがある。全長7.2m。電車一両の1/3くらいの長さであるから、あっという間に通り過ぎる。この愛らしいトンネルも水没予定区間内だ。 1日に5本しか列車がやって来ない終着駅大前まで一旦乗ったあと、折り返して川原湯温泉で降りる。大前では20人くらいの鉄道ファンを見かけたが、川原湯温泉で降りたのは10人に満たない。 木造の壁を白塗りした古い駅舎を出て駅前に立つ。山裾には靄がかかり、空気は冷たい。案内板に従い温泉街を目指すが、誰も歩いていない。一緒に降りた人達は先に行ってしまったようだ。案内板を一緒に見ていたおじさんは一人で駅のすぐ近くの吾妻渓谷へ向かった。紅葉の時期は素晴らしい場所だそうだ。 人も車も通らない細い道を上る事10分。道の両脇にくたびれた雰囲気の旅館やスナックが現れる。意識して気がついたが、どうやら温泉街に着いたようだ、 数分も歩くと温泉街は尽きた。一番端の方に「王湯」という共同浴場がある(300円)。露天風呂も備えるような温泉だが、こじんまりとした構えは悪くないものの観光客向けらしく、Nちゃんも私も気が進まないまま、もう一軒の共同浴場である「笹湯」を目指して引き返す。 笹湯は温泉街の道路から狭い階段を降りた所にあった。30cmくらいの長さの案内板が階段にくくり付けられていたが、気がつかずに通り過ぎてしまう位置である。 古い物置小屋みたいな建物の入口には確かに暖簾が掛かっている。番台はなく、料金箱に300円を入れて入る。 下駄箱から上がると扉はなくそのまま脱衣所につながっており、その脱衣所から浴室も仕切りのサッシなどはなくつながっている。(女湯と入口の間は暖簾で仕切られ目隠しされている) 木枠の荷物入れに衣服を入れて浴槽へ。青いタイルの浴槽からはかすかに硫黄の匂いが漂う。 先客の話によると、普段はガラガラで貸し切り状態になる事も珍しくないそうだ。静かな温泉場に相応しい静かな古い木造の浴場。貸し切り状態なら、聞こえてくるのは鳥のさえずりとお湯の流れる音だけであろう。 川原湯温泉は水没予定地だが、既に水没後の新しい温泉街の建設計画が決まっていて、現在地より高い場所に作られる予定だそうだ。 地元としては再開発に期待しているため、ダム建設賛成派が少なくないようだか、反対している旅館が一軒あるそうだ。そんな話を聞いていると、いつまでもこの鄙びた風景と静かな温泉は残しておいてほしいと願わずにはいられない。しかし、地元の人達には生活が賭かっているのだ。 またここに来たいとNちゃんと話ながら駅に向かい歩いていると、空から小さな雪が舞ってきた。 #
by seasonz-t
| 2010-04-08 22:49
| 関東
|
ファン申請 |
||