カテゴリ
以前の記事
2013年 01月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 10月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
信越本線の加茂駅の新潟寄りに古びた橋桁がある。錆びて朽ちかけたその橋桁には道路や線路は架かっておらず橋桁だけが往時を偲ばせている。 その橋桁は、かつて加茂と磐越西線の五泉(ごせん)とを結んでいた蒲原鉄道というローカル私鉄の廃線跡である。蒲原は「かんばら」と読む。越後平野のこのあたりを指す地域名だ。 蒲原鉄道は沿線人口の少なさから利用者減少に悩まされ、加茂~村松が廃止された。五泉~村松は利用者が比較的あったという訳である。 しかし、時代は自家用車が陸路の主役になり、地方は成人は一人一台などと言われる現状、ローカル私鉄が規模を縮小したからと言って上手く経営していくのは大変厳しい時代。蒲原鉄道はついに全線廃止が決まった。 1998年4月11日土曜日。私は夕日に照らされる五泉駅のホームに立っていた。JR磐越西線のホームから少し間を置いて蒲原鉄道のホームがある。JRから比べ短いホームに、上半分がオレンジ色、下半分がこげ茶色の電車が一両で停まっている。正面の窓ガラスが二枚並びのデザインは愛嬌ある顔つきだが、近づいてみると車体はかなりくたびれていた。 車内も古色蒼然という言葉がしっくり来るような前時代感で、床は木製、固いシート、窓枠の錆び、それらが雪国を何十年も走ってきたベテランの静かなる自己主張にも思えた。 16時52分に五泉を発車した電車は車体を細かく横に揺らしながら町の郊外を走る。並行して道路があるから、バスに転換しやすい立地ではある。蒲原鉄道はバス部門もある会社である。 土曜日の夕方だから学校帰りの高校生の姿は少なく、オレンジ色の日差しが差してくる車内は閑散としており、床の木目が日差しに照らされ明るく浮かび上がっている。 村松までには途中に一駅あるだけだから終点まであっという間で、16時59分低いモーター音を響かせながら電車は村松に到着した。村松は蒲原鉄道の本社や車庫があるので駅の構内は割と広い。 私はすぐには折り返さずに、村松の町を散策してみる事にした。駅前から商店街が伸びている。歩道には屋根が架かっているのが雪国らしいところだが、想像していたよりも店が多く賑やかな町である。 商店の店先にオレンジ色のユニフォームに身を包んだ選手の写真を使ったアルビレックス新潟のポスターが貼られてあった。アルビレックスはこの年JFLに昇格したばかりのサッカークラブでJFLの上のカテゴリー、つまりJリーグを目指している。アルビレックスのチームカラーであるオレンジ色は日本海の綺麗な夕日をイメージしているのだという。 実は明日、私はアルビレックスの試合を観に行く予定を組んでいて、今夜は五泉から磐越西線で新津に出て新津に泊まる予定である。 長い歴史に幕を下ろすオレンジ色の電車。新たな歴史を刻み始めたオレンジ色のユニフォームのサッカークラブ。私は夕日に染まる空を見上げながら村松駅へ向かいながら歩いた。
by seasonz-t
| 2011-07-10 10:37
| 甲信越
|
ファン申請 |
||